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M格闘の締め技完全解説|MMAで使われるチョーク技の種類と仕組み

MMAの締め技・チョーク技のイメージ

試合の流れが一瞬で変わる。打撃戦が続いていたかと思えば、気づいたときには選手の首が相手の腕に絡まっている。そして数秒後、タップアウト。M格闘(総合格闘技・MMA)の魅力を語るとき、締め技を抜きにすることはほとんど不可能だ。鮮烈なKOシーンと並んで、締め技による一本決着は観客を熱狂させる格闘技の醍醐味そのものである。

このガイドでは、MMAにおける締め技の種類・仕組み・試合での使われ方を、格闘技ファン初心者から中級者まで役立つ形で丁寧に解説する。専門用語が多い世界だが、一つひとつ読み解けば、観戦が格段に楽しくなるはずだ。

そもそも締め技(チョーク)とは何か

チョーク系技は、相手の首を絞めて酸素を奪うことで降参を促す技だ。単純に聞こえるが、実際には頸動脈への圧迫によって脳への血流を遮断するメカニズムが働いており、正しく決まれば体格差すら関係なくなる。これが締め技の恐ろしさであり、同時に格闘技としての奥深さでもある。

格闘技は大きく打撃系・組み技系・複合系の3カテゴリーに分類される。組み技系は投げ・締め・関節技を用い、複合系(MMAなど)はこれらを組み合わせたスタイルだ。つまりM格闘(MMA)の試合では、打撃でダメージを与えながら締め技に移行する、あるいはテイクダウンから地面で締め技を狙う、という複合的な戦略が常に展開されている。

MMAの試合では、スタンド状態からグラウンドに移行し、最終的にサブミッションでフィニッシュすることがよくある。そのため、グラウンドでの攻防を理解しているかどうかで、観戦の面白さが大きく変わる。

MMAで頻出する締め技の種類

リアネイキッドチョークの体勢

リアネイキッドチョーク(裸絞め)

リアネイキッドチョーク(RNC)は、裸絞とも呼ばれ、後ろから相手の首を絞める技だ。バックポジションを取った状態から、片腕を相手の首に回し、もう一方の腕で固定して締める。MMAで最もフィニッシュ率が高い締め技のひとつとされており、グラウンドでの試合を締め技で終わらせる場合、このRNCが使われることが圧倒的に多い。

技が完全に決まると、相手は数秒以内に意識を失う可能性がある。だからこそ、かかりそうになった選手はタップアウト(参った)を即座に出す判断が求められる。遅れれば危険な状況に陥る。試合での駆け引きが最も凝縮された瞬間のひとつといえる。

三角絞め(トライアングルチョーク)

三角絞め(トライアングルチョーク)は、足を三角形の形に組んで相手の首と腕を絞める技だ。ガードポジション(下から相手を挟む体勢)から仕掛けることが多く、下になった選手が逆転一本を狙う場面でよく登場する。

総合格闘技MMAでは、ガードポジションから相手の首に足をかけてから相手を転がして極めたり、とてもよく目にする寝技だ。足と腰の力を使うため、体格が小さい選手でも大きな相手を極められる可能性がある。ブラジリアン柔術を修得した選手が得意とする技のひとつでもある。

ギロチンチョーク

ギロチンチョークは、正面から相手の首を絞める技だ。相手がタックルを仕掛けてきた瞬間を利用して首に腕を巻きつけ、そのまま後ろに倒れ込みながら締める展開が多い。スタンドから直接仕掛けることもでき、グラウンドに移行する前にそのまま極まることもある。

スタンドで決まれば観客が大きく沸く技でもある。タックルへの迎撃として使われることが多いため、テイクダウン防御と攻撃が同時に成立する合理的な技でもある。

その他の主要な締め技

アームトライアングルチョークは、胸と腕で相手の首と腕を圧迫しながら締める技だ。サイドポジションやマウントポジションから仕掛けやすく、関節技とのコンビネーションでも使われる。相手の腕を巻き込みながら首を締めるため、逃げにくいのが特徴だ。

このほかにも、ダースチョーク、ボーアンドアロー、ノースサウスチョークなど、ブラジリアン柔術やグラップリング由来の締め技がMMAに持ち込まれ、試合の幅を広げている。格闘技の世界は技の進化が止まらない。

締め技と関節技の違いを整理する

締め技と関節技の比較

サブミッションとは、相手を降参させるための技で、関節技やチョーク技など様々な種類がある。この技術は柔術や総合格闘技(MMA)をはじめ、プロレスやグラップリングなど多くの格闘技で使用される重要なテクニックだ。

締め技と関節技は混同されやすいが、仕組みが異なる。締め技は首への圧迫によって血流や気道を遮断するアプローチで、関節技は肘・肩・膝などの関節を正常可動域を超えて曲げることで痛みや損傷を与える。関節技の代表例としては、アームバー(腕ひしぎ十字固め)、アメリカーナ(V1アームロック)、キムラロック(腕がらみ)などがある。

試合観戦で「締め技か関節技か」を区別できるようになると、選手がどこを狙っているのか、相手がどう逃げようとしているのかが見えてきて、攻防の読み合いがより面白くなる。

なぜ締め技は試合を一変させるのか

打撃で優勢な選手が、グラウンドに引き込まれた瞬間に一本で負けることがある。MMAの奥深さはそこにある。MMAでは打撃技とサブミッション技が組み合わさるため、非常に多様な戦略が求められる。スタンドで強い選手が必ずしも寝技で強いわけではなく、逆もしかりだ。

締め技が一本決着に至る過程には、ポジション争いという重要な段階がある。バックポジション、マウントポジション、サイドポジションなど、有利なポジションを確保してからでないと、多くの締め技は有効に機能しない。選手たちは試合中、常にポジションの優位性を意識しながら動いている。

加えて、締め技を「チラつかせる」フェイクとしても使う選手がいる。首への圧迫を見せて相手が手で防御した瞬間に、今度は関節技へ切り替える。その逆もある。こうした技の連携を「コンビネーションサブミッション」と呼び、熟練した選手ほどこの切り替えが速く流れるように仕掛けてくる。

M格闘における締め技の学び方・練習方法

柔術・グラップリングの練習風景

締め技を学ぶなら、ブラジリアン柔術(BJJ)やグラップリングのクラスが最も体系的だ。護身術を目的とする人には柔道・柔術が人気であり、競技志向ならMMAが選ばれる傾向がある。どのスタイルを選ぶにしても、締め技の基礎となる「ポジショニング」の概念を先に習得することが重要になる。

初心者が最初にぶつかる壁は、技の形は覚えられても実際にスパーリングで使えないというギャップだ。締め技は細かい手順の連続で、一つがズレると相手に簡単に防がれる。反復ドリルで形を体に染み込ませてから、ライブスパーリングで試すというプロセスが一般的だ。

また、安全面への配慮も欠かせない。締め技は正しく決まると非常に危険であるため、練習では必ずパートナーのタップアウトを即座に尊重するルールが守られる。これは格闘技ジム文化の基本であり、信頼関係の上に成り立つ練習環境が技術習得の土台となる。

締め技を知れば観戦が変わる

技の名前を知ることで、選手の攻防がより鮮明に理解できるようになり、観戦の興奮が何倍にも膨らむ。RIZINやUFCの試合中継を見るとき、選手の手の位置・脚の角度・体重の掛け方を意識するだけで、画面の中の展開がまるで違って見える。

「あの選手は今、三角絞めへの移行を狙っている」「バックを取られたから次はRNCが来る」という予測ができるようになると、試合の結末が訪れる前から緊張感を共有できる。格闘技観戦の醍醐味は、こうした技術的読み合いを知識と一緒に楽しむところにある。

M格闘における締め技は、単なる「首を絞める動き」ではない。ポジション争い、体重移動、タイミング、そして心理戦。すべてが凝縮された格闘技の核心的技術だ。その仕組みを理解した瞬間、試合のすべての攻防が意味を持って見えてくる。初心者こそ、まず締め技の名前と仕組みから格闘技の世界に入ってみることをすすめたい。